篠田ミルさんのこと

篠田ミルさんの存在を知ったのは、2019年からつづく「ダンスは抵抗である」というメッセージを掲げるサウンドデモ〈Protest Rave〉だった。

共通の友人から情報をもらい、カメラを持って撮影に出かけた。(最近はあまり出来ていないが、私は2015年以降、各地の抗議行動を撮影することをつづけている)

ミルくん(普段こう呼んでいた)たちの行動に私も心より賛同し、応援・拡散の意味を込めて取材し、ショート動画をアップした。

https://x.com/tk_nishihara/status/1188081709016727552

https://x.com/tk_nishihara/status/1216315670775750656


その後、コロナ禍となり、ミルくんは仲間たちと SaveOurSpace ──新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業停止や休業要請により危機に陥ったライブハウスやクラブ、文化施設、そしてそこで働くアーティストやスタッフの雇用と生活を守るためのプロジェクト ──を始めた。web番組での記者会見の発信は、今でも強くおぼえている。文化芸術への無理解に、どう声を上げていくのか。私自身も、ミニシアターへの支援を求める SAVE the CINAMAを、SOSの活動を追いかけるように始めることになる。

2021年、これもミルくんが参加している「D2021」の配信を手伝った際に、番組冒頭で流れていた音楽がずっと気になっていて、後からミルくんがつくったことを知った。ちょうど私は『百年と希望』というドキュメンタリー映画を準備していた頃だったので、その音楽をお願いできないかなと思って連絡をしたところ、二つ返事でOKをもらえたのだった。それが2021年の終わりぐらい。

映画音楽については、ミルくんもその時が初めてということを知り、元々興味があったということで喜んでくれて、こちらもとても嬉しかった。

仮編集の映像を送り、そこに音楽をつけてもらって、デモ版をチェックしては意見交換をする、というのを何回か繰り返した。当時のメッセージのやり取りを見返してみたら、「めっちゃ良いです!」「わー!」「最高!」としか、二人とも言ってなかった笑

ラストの音楽は、ちょっと自分も粘りたかったので、ダビング(音全般のミックス作業)を行うギリギリまでやり取りし、結果、5個ぐらいデモをつくってもらったと思う。涼しい顔で(メッセージだから表情は見えないが、たぶん涼しい顔で)「デモは何個もつくってこそですから!」と、本当に音楽の仕事に、真摯な方でした。

ダビング終わりで、録音・整音を担当してくれた友人と三人で、中華を食べた。食べながら飲みながら、いまの社会のこと、政治のこと、文化芸術のこと…「ほんと、そうだよね」と忌憚なく話したことを強くおぼえている。何でも話せる、数少ない友人だった。

自分の映画が、ミルくんの作品の一部になって、本当に光栄です。

去年の春、新しい映画の編集が大詰めになったタイミングで、ミルくんに連絡をした。曲を2つ新しくつくってくれて、その映画は、『ナウ・アンド・ゼン』として完成し、今年8月29日から公開となる。映画館での上映を、また、とても喜んでくれていた。その時のメールのやりとりで、お互いに関心のある新しいテーマがあり、新しい企画の打ち合わせをしようと言ったきりになってしまった。

突然で、寂しい。それでも、思い出されるのは、一緒に作品を共にできた時間のこと。やりたいことは沢山あったと想像する。今はただ、残してくれた音楽を大切にしたい。

ご家族、メンバー・スタッフの皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。

ミルくん、またね。

西原孝至

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